対数(たいすう)の話
まだ計算機が発達していない昔、天文学の複雑な計算をするのは大変な事でした。ある人がおもしろい事に気がつきました。
次のようなかけ算を例に考えます。
100×1000=100000
計算はすごく簡単ですね。こういう問題ばかりだったら計算ドリルの宿題もすぐに終わっただろうと思いますね。
しかし、この計算に対数のエッセンスが入っているのです。
この計算が何故簡単なのでしょう。0の数を足した数だけ0をつければ答えになるからです。つまり100は2個、1000は3個、答えの100000は5個ですね。
2+3=5
この足し算をすればいいことになります。
なにが起こっているかお分かりですか。
”かけ算の答えが足し算をすれば求まる”という事です!
対応表を書いてみましょう。
10・・・1
100・・・2
1000・・・3
10000・・・4
100000・・・5
1000000・・・6
次の計算はどうなるでしょうか?
100×10000
100に対する数は2、10000に対する数は4
2+4=6です。
今度は逆に右側で6を探します。するとその左の数は1000000ですね。つまり
100×10000=1000000
というかけ算を2+4という足し算でやったことになります。
この右の1,2,3...を左の10、100、1000...の「対数」と呼びます。
左側の数字が飛び飛びですね。この隙間を埋めた物が「対数表」として本屋さんで売られていました。
対数表をみれば時間のかかるかけ算の代わりに足し算で済んだため計算時間がぐんと短くて済んだということです。
この10をもとにする対数のことを「常用対数」と呼びます。
以上が対数のエッセンスです。というか対数が必要であったわけです。
あまりこういう事は教科書には書いてありませんね。
「log」なんていう記号が出てくるだけで拒否反応を起こしてしまった人も多い事でしょうが上の表をこの記号で書くと
log10=1
log100=2
log1000=3
log10000=4
log100000=5
log1000000=6
これだけの事です。
さっきの例をこの記号で書いてみましょう。
log(100×10000)=log100+log10000
左側のかけ算が右側は足し算になっていますね。これがうれしくてわざわざ対数なんてものを考えたわけですから、次の式
log(a×b)=log a + log b
は対数logの性質そのものなわけです。
こういう公式を丸覚えしたってつまらないだけですね。